誹謗は口づけで屠る //落乱-義白小説 万年時計のまわる音

「おれ…ッ、~~お、お…お慕いしてますッ!」

それは黄昏時から逢魔時と呼ばれる時間帯に移り変わろうかという時分。

乞われて海岸近くの草地で共に軽く汗を流した義丸は、この度の依頼者当人であり先の発言をかました弟分を、信じられない想いで見つめた。ぎゅう、と目を閉じたその顔は、水平線に沈みゆく夕陽よりも紅いように見える。

弟分、白南風丸は義丸と同じく第三協栄丸率いる兵庫水軍に属する水夫だ。同年代の者たちに遅れを取りつつも漸くカスメ御免となり、先日忍たまたちの助力を得て(補欠ではあるが)盾役の任を勝ち取った、現在一人前の盾役を目指して一層鍛錬に励んでいる若者である。

これは夢か。義丸は何度も瞬きし、それでも眼前から白南風丸が消えないことを繰り返し確かめる。これまでに義丸は幾度も、こんな風に白南風丸から想いを告げられる場面を夢想しては、あり得ないと否定することを繰り返してきたからだ。

白南風丸は、豪快で自己主張の激しい者の多い海の猛者達の中ではあまり目立たない男だ。特別何かに秀でている訳でもなく、むしろ臆病な所がありカスメ御免となるにも時間がかかった。そんな彼を取り立てて蔑むような者はこの水軍にはいなかったが、当然落ちこぼれに類すると思われていたし、義丸自身もそう思っていた。しかし、その考えは彼と接する内に変わっていくこととなった。

どれだけ未熟さや失敗を笑われたり、冗談半分に落ちこぼれだと卑下されたりしようとも、落ち込みはしても決して怒ったり自暴自棄になったりしない。齢十の忍たまの言葉でさえ真摯に受け止める素直な心、負の評価は己の非であるとしてただ鍛錬に励む直向きさ。そしてそんな芯の強さが宿った瞳は、大海原の上に広がる晴れ渡った空のように澄んでいる。彼は、意識して持てるものではないしなやかな強さと魅力を、朗らかで優しい、ともすれば軟弱にも映る性質の内に秘めていた。そんな魅力を一つ一つ発見していく中で、気がつけば義丸は彼に心を傾けるようになっていた。

最初はただ努力家の可愛い弟分として心なし目を掛けて指導し、成長を見守っていたはずだった。しかしいつしか、その弟分に対して欲を覚えるようになった己に気がついた。 彼を組み敷いて熱を煽り、己の欲望で最奥まで押し開いて善がらせる…そんな様を妄想し、持て余した熱を吐き出したことも数え切れない。けれど、現実の、無邪気に笑う白南風丸の瞳は「鉤役の兄貴」への憧れで輝いている…。欲望のままに熱を吐き出した後は清廉な彼を汚した罪悪感に囚われるだけで、制御できない欲望と罪悪感との間で苦悩する日々を過ごしてきた。

だというのに彼は今、義丸を「そういう意味で」好いていると言うのだ。夢で無かったらなんだというのだろう。

ーー否。義丸は意識して冷静さを引き戻し、そんな甘い考えを否定した。これは彼の言葉と態度を己の都合のいいように解釈しているだけだ。義丸自身は白南風丸の言動から彼が己に憧憬の念を抱いていることを察していたが、直接言葉にして伝えられたのは初めてのことだ。相手は驚くべき純粋さを持つ白南風丸なのだ、「そういう意味」であるわけがない。顔を赤らめ伏せたのもただ照れと恥じらいを感じているだけで、夕陽に照らされたその姿に己の欲望による都合のいい解釈が行われたに過ぎない。彼の言動と想像し得る心中の辻褄が合い、義丸は納得すると同時に落胆したが、頭を軽く振って浅ましい期待を振り払う。

「ありがとな、白。そう言って貰えると俺も兄貴分として嬉しいぜ。早く立派な盾役になって俺を援けてくれよ、期待してる」

笑顔を作り、俯いた白南風丸の頭に彼を励ますように片手を置く。執着心に負けぬよう己を律してその手を引き剥がすと、じゃあなと言い残して素早く身を翻した。二人きりで居られる時間を少しだけ恋しく思ったが、今すぐに頭を冷やしたい気持ちの方が勝った。 だが、義丸は急に後ろに強く引かれたたらを踏んだ。意志を挫かれ何事かと振り返った視界に飛び込んできたのは、白南風丸の歪んだ顔だった。

「そういう、意味じゃ、なくて…っ」

夜が忍び寄る薄闇の中、今にも泣くのではないかと思うほどの必死の形相で己の服を掴む姿に、義丸は先ほど打ち捨てたはずの期待が再び胸の内にむくむくと膨らんでくるのを感じる。

心の臓が早鐘を打っている。戦の時ですらここまで緊張はしないのにと少しだけ情けない気持ちを覚えつつも、逸る気持ちをなんとか押さえつけ、身体ごとゆっくりと向き直った。慌てて引っ込められる彼の手をほんの少し名残惜しく思う。

「…じゃあ、どういう意味なんだ…?」

義丸は努めて平静を装って問い返す。己を引き留めた真意を知りたくて、それが淡い期待を肯定するずっと渇望している答えであって欲しくて、白南風丸を穴が開くほどに見つめてしまう。

白南風丸は困った風に目線を泳がせて再び顔を伏せてしまった。意地悪な問いかけだっただろうか、と思いつつも、義丸にはそれ以外にどういう言葉を掛けたらいいのか分からない。直接的に尋ねてもしも勘違いだったら、手ひどく否定されたら、その瞳の輝きが失われてしまったら――立ち直れない気がした。あまりの意気地のなさに、よく鉤役を務められるもんだと心中で自嘲する。

「……てを」
「なに?」
「………いちどで、いいので…夜の、お相手を、させてください…っ!」

ぎゅうと目を閉じ絞り出すように放たれた白南風丸の言葉に、義丸は強い衝撃に襲われる。 渇望した答えを一足飛びに飛び越えた返答だった。強烈な喜びに眩暈がしたが、気合で身動ぎ一つせずに収める。カッコいい兄貴としてはこんな所で卒倒するわけにはいかない。

目の前には薄闇の中でもはっきりと分かるほど真っ赤な顔で身を縮めている白南風丸がいる。何度瞬きをしても彼は視界から消えはしない。義丸の目に映る世界が、急激に鮮やかさを増して輝き始めた。その中心にいる白南風丸が恐る恐る顔を上げる。不安そうに下がった眉尻の下で揺れる潤んだ瞳が上目遣いにこちらを伺っている。その様が、告げられた想いへの喜びが、彼の全てが、義丸の押し込めてきた欲望に火をつける。

義丸は白南風丸との距離を詰め腰に腕を回して彼を捕らえた。白南風丸は義丸の行動に戸惑った様子を見せたが、抗うことなく腕の中に納まりただ見上げてくる。それが可愛らしくて、夢で何度もなぞった彼の頤に指を添えて唇を奪った。

義丸の妄想の中のそれは艶々して滑らかだったが、実際は日焼けと潮風の影響か酷く荒れて表面がガサガサしていた。妄想とかけ離れたその感触は、今この腕に本当に彼を抱いているのだという実感をもたらし、むしろ一層の興奮を煽った。

衝動のままに舌で強引に歯列を割って口内へ押し入る。驚いたのか胸を小さく押し返す感触があったが、口内をほしいまま貪る内に縋るようにただ服を掴むだけになった。そんな物慣れない様子もまた可愛くて、ますます深く唇を合わせ縮こまった彼の舌を絡め取って夢中で吸い上げる。

「――ふ、ぁっ」

腕の中の白南風丸が急に崩れ落ちた。二人の間に一瞬だけ銀糸の橋が架かってふつりと切れる。腰が抜けたか。口付けに夢中になっていた義丸は、寸前のところで彼を抱きとめた。白南風丸は熱に浮かされたとろりとした表情で義丸を見上げてくる。口の端に垂れた唾液と、荒い呼吸を繰り返す薄く開かれた口から覗く赤い舌が艶めかしく義丸の熱を煽る。

彼の身体が弛緩しているのを幸いに、義丸は白南風丸を草地に横たえさせて上から覆いかぶさった。見上げてくる無垢な瞳は、期待と恐れが入り混じり揺れている。躊躇わずに彼の上衣を肌蹴ると、日焼けしあちこちに傷がついた男らしい肉体が現れた。引き締まった筋肉に包まれたしなやかな上体、周りの皮膚より色が少し濃い胸を飾るささやかな尖り。男の上半身など見慣れ過ぎているはずなのに、白南風丸のだと思うとやたらと欲を煽られる。義丸は誘われるように彼に指を伸ばした。

「…ぃたっ」

義丸の指が肌に触れるより前に、白南風丸が小さく顔を歪めた。首筋を気にしている様子から、どうやら身じろぎした際に草の鋭い葉先が肌に触れたらしい。そこで義丸ははた、と我に返った。 折角思いが通じ合ったのに、初めてが外だなんてあまりにも酷くはないだろうか。割合ふかふかしている草原とは言え彼の体には負担がかかるだろうし、葉先はチクチクとその肌を刺すだろう。しかも彼は、懸命に船を漕ぐため背中を痛めている。

初めては柔らかな布団の上で、ゆっくり優しく抱いてやりたい。快楽だけを与え蕩かせて、己無しではいられない身体にしてやりたい――…。

後半にかけて少しばかり変態臭くなった思考をわざとらしい咳払いで誰にともなしに誤魔化しつつ、義丸は先ほど肌蹴た白南風丸の上衣を手早く直した。大体その場で押し倒すなど即物的な、抑圧してきた期間が長かったとはいえ盛りのついた獣か俺は、と己の行動を恥じる。困惑した表情で見上げてくる彼の手を取って引き、上半身を起してやる。

「悪かった」

己の衝動的な行動に対し謝罪の言葉を口にした。されるまま手を引かれていた白南風丸は一瞬目を見張り、しかしすぐに顔を伏せてしまう。そのままの体勢で動かなくなってしまった白南風丸に、義丸は戸惑った。幻滅されてしまったのだろうか、と不安がよぎる。

「……白?」

恐る恐る、白南風丸の肩に手を掛けて顔をのぞき込みながら愛称を呼ぶ。触れた彼の肩は小刻みに震えていた。覗き込んだその顔は魂が抜けたような無表情で、虚ろな両目に今にも零れ落ちそうなほどに涙を溜めていた。

義丸は狼狽した。即物的だったとはいえ精一杯ゆっくり優しくことを進めていたつもりではあったのだが、やはり恐ろしかったのだろうか。どうしてこうなった。義丸は呆然とした。

「…やっぱり…俺なんかより、もっと綺麗な子の方がいいですよね…」
「え?」

暫しして絞り出すように紡がれた白南風丸の言葉は義丸の耳に辛うじて届いたが、想定範囲から大きく外れていたため咄嗟に意味が理解できずに聞き返す。

しかし白南風丸は地面を見つめたまま唇を引き結んでしまっている。目を覆う水の膜は微細な光を弾いて煌めいているのに、義丸には何故かそこに深い闇が蹲っているように見えた。 それ以上何の反応も見せない白南風丸に、義丸は先の彼の発言を何度も咀嚼しかつここまでの経緯を反芻して、どうやら彼は義丸が己に対する行為を中止した理由を勘違いしているらしいと思い至る。しなやかな強さで義丸を魅了した白南風丸が、その自身に対して暗い考えを持っていたことに驚愕し、かつそれが少なからず言葉にせずに行動に移した自分に起因することを悟った。常日頃から軽口を叩いている癖に肝心な時には言葉を忘れる不甲斐ない自分自身と、そんな暗い思いを一人燻らせていたのだろう白南風丸に対する理不尽な憤りが、身の内から湧き上がってくる。

「そりゃ、そうですよね…。義兄ほどの男だったら女だって選り取り見取りで。海ではそうは行かないって言ったって、細身で綺麗なもっと若い、出来のいい奴がいいに決まってますよね……」
「…白」

義丸に対して話しているつもりではないらしくぼそぼそと呟かれる、自嘲に満ちた言の葉。それぞれの単語など全然頭に入ってこないのに、彼が何を言いたいのかを義丸は明確に感じ取っていた。

冷静にならねばと理性が窘めようとするが、白南風丸自身を絡め取る言葉の鎖が重ねられていく程に、湧き上がる感情の温度が上がって行く。吐き出される呪詛を抑する意図で名を呼んだ声にも剣呑な色が混ざる。

しかし白南風丸は暗い意識に沈んでいて気付かなかったのか、怯えもせず自身を呪うような黒い感情を吐き出し続ける。

「ただでさえ可愛げのない野郎だってのに、こんな、傷だらけで汚い、体格がいいだけの落ちこぼれなんか――…想像するだけで萎えちゃいますよね」
「………」

沈黙がおりる。 それを肯定と取ったのか、白南風丸は俯けた顔を更に深く伏せた。薄闇のなかで、水粒がいくつか、僅かな光を弾いて地面へ吸い込まれていくのが見える。義丸はそれを綺麗だと、状況にも己の心中にも似合わぬ感想を頭の片隅で思いながら見送った。

「…どうしようもない落ちこぼれの俺を気に掛けてくださっているだけなのに、変な気を起こして――…気持ち悪い事言って、すみません、でした。忘れてく、ださ…、っ?!」

彼が絞り出すような声音で話を完結させようとした所で、義丸は唐突に白南風丸の体を乱暴に突き飛ばした。再び草地に転がった白南風丸に、黙したまま馬乗りになる。そんな義丸を、白南風丸は濡れた瞳で訳も分からず呆然と見上げた。

「…言いたいことはそれで全部か?」

白南風丸の顔を見下ろして、静かにそう言った。見上げてくる彼の瞳は恐怖と不安を映して惑う。

彼を大事にしたい、その気持ちに嘘はない。しかし義丸は今、激情に支配されていた。萎えるだと?この俺に向ってよくもそんなことを、上等だ。そんなに言うなら、分からせてやるまでだ。

白南風丸の勘違いが、気持ちを言葉にせずに行動に出た己の責であることを重々理解した上でさっさと棚上げし、自己中心的な怒りを振りかざす。怯える彼の表情に不謹慎にも若干の興奮を覚えたのもあって、先ほど堪えた欲望に忠実になることに決め実行に移すことにした。

怯える瞳を無表情で見下ろしたまま彼の前を探り、己にもついているモノを布越しに鷲掴む。うひあ!?などと色気のない声を上げて下敷きにした体が跳ねたが気に留めず、ふにゃりと柔らかい感触を、布越しにわざと乱暴に揉みしだく。

「…ふゃぁ!?ちょっ、何す…ぅあ、やめ、触らな…!」

驚き抗う白南風丸だったが、それは本人の言葉とは裏腹にすぐに反応を示した。彼の抵抗を歯牙にもかけず揉み続けると、すぐに芯を持ち硬度を増していく。

「ふァ、あぅ……ん…ッ」

彼自身が屹立する頃には抵抗も弱まり、赤く誘う唇からはいやらしくも可愛らしい甘い音が散らばるだけになっていた。嫌々をするように頭を振る白南風丸の瞳は快感に揺れ、困惑と恐怖は薄っすらと見え隠れする程度まで押しやられている。心配になる程快楽に弱い愛しい弟分のなんと美味そうなことか――欲望を滾らせながらも義丸は、しかしそれを何とか支配下に収めた。

先ほど決意した通りにただ欲望のままに彼を貪るのは簡単だ。しかしそれでは、義丸の気持ちを、彼自身の魅力を、白南風丸が正確に受け取り理解する日は永遠に来ないだろう。全てが済んだ後にいくら言の葉を重ねても、それが実をもって彼の心を癒すことはない。だから今、義丸の胸の内に秘めてきた思いを、この憤りを、多少傷つけてでも先に思い知らせてやらねば。そう思い直した。

快楽に溺れつつある彼の濡れた瞳を至近距離で睨みつけると、霞がかかりふやけた瞳に、消えかけていた怯えが蘇る。

「いくらお前でも、俺の想い人をなんか呼ばわりすんのは許さねぇ」

存外に低い声が出た。怯える可哀想な白南風丸に理不尽な怒りを叩きつけ、同時に遠回しな愛の告白をする。恐怖と戦っうので精一杯だった白南風丸の意識が義丸の言葉に傾いた、その隙を見逃さず彼の袴紐を解いて下へずらす。現れた太腿は日頃の努力が見て取れる質の良いしなやかな筋肉がしっかりついて逞しい。その筋に指を這わせると、白南風丸はビクリと身を強張せた。その反応に義丸はほくそ笑み、そのまま褌をも剥ぎ取りにかかる。阻もうと慌てて伸びてくる白南風丸の両手を、逆に掴み取って地面に縫い止めた。手で彼を触れなくなった代わりに、はち切れんばかりに滾った己の欲望を、煽り立てた彼の股間に思い切り擦り付ける。

「んぇ、えっ?えっぁ、ちょ…と、ま…っ、ぁん、待って、くださ、ぁッ!」
「待たない。」

布越しに見ても分かるほどガチガチに勃ち上がった己のものをぐいぐいと押し付けると、白南風丸はその度に体を跳ねさせた。盛大に混乱し半泣きでぐちゃぐちゃになった白南風丸は、首まで真っ赤になりながら身を捩って懇願するが、可愛らしい喘ぎ声に義丸は既に我慢も限界だ。無情にも白南風丸の懇願はバッサリと切り捨てられた。彼を得るために必要なことだという考え以上に、可愛すぎる恋しい人に対する嗜虐心に唆され、真っ赤に染まった彼の耳に唇を寄せる。

「お前の言う傷だらけで汚いガタイがいいだけの落ちこぼれに、今俺が押し付けてるこれは何だろうな?なあ?」

低く囁くように吹き込み、そのまま、言葉を刷り込むかの如く耳穴に舌を捩込んだ。訳も分からず吹き込まれる言葉と股間に押し付けられる存在から逃れようと抗う白南風丸を力で抑え込み、その存在を主張するように何度も押し付けながら問いかけるその様は極めて変態じみている。自覚はあるが知るものか、恋する者は皆無様なものなのだ。

持て余した欲望をなんとか押さえ込んで紳士に振舞おうとしたのに、勝手な解釈をして傷ついて終わろうとしたこいつが悪いのだ、とこれまた理不尽に決めつけた。隙のない動きで彼の両腕をまとめて拘束し直し、空いた手を乱れた褌に掛ける。ようやく手に入れた焦がれた存在を、それを手にする機会を、逃すつもりはない。据え膳食わない男などいない。

「もうずっと我慢してきたんだ、そろそろ褒美を貰ってもいいよな。なあ、白…?」

「ひぅ…っ、ぁ、や、…っ!」

義丸は手で彼を弄りながら意地悪に尋ねつつ白南風丸の最後の砦を崩した。欲望のままに愛しい人を隅々まで堪能し、余さず愛を注ぎ込み、ついに我が物にしたのだった。

その後、意識を失った彼を屋内へ運んだ義丸は、己の服の中であどけない表情で眠る彼に(自ら包んでおきながら)再び元気になった己を鎮めるのに苦労し、結局一睡もできず朝を迎える羽目になった。

明朝、彼が目覚めた後、義丸は彼の「世間一般に言う恋人」の地位に着くために、言葉を尽くして誤解を解き愛を吹き込むという大変甘酸っぱい苦労をすることになるのだが、その顔が幸せそうに緩んでいたのは言うまでもない。

誹謗は口づけで屠る


[2017/09/13]

遅ればせながらこっちにもUPしておきます。
2017年5月3日開催の超忍FESで発行した無配の義白小説でした。当時無題。
構想したのは大分昔で、水軍よく分かってなくて自信がなかったので長いことコネコネしてたのですが、せっかくサークル参加するんだし義白仲間と勝手に認識しているカイリさんに差し上げようと思って仕上げました。
うちの義丸さんはどうあがいても変態になってしまう…wカッコよくしたかったんですがね…白が可愛いから仕方ないのかもしれない。笑
白南風丸くんを男の子かわいい感じに書きたいのですが…難しいですね…。個人的に義白は狼×大型犬なイメージです。白は小型って感じじゃないので…笑
貰ってくださった方、ありがとうございました。

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