春きたりなば、冬つらからじ//落乱-鉢尾小説万年時計のまわる音

「――、なんだか賑やかだな?」

級友に続いて学園の門を潜った三郎は、耳に届いた音の出所を探して首を伸ばした。きいんと冴えた空気を微かに震わせるざわめきに、薄らと感じられる多くの人の気配。だが視線の先には真っ白に塗りつぶされた校庭があるだけで、人っ子一人見当たらない。
校庭の先にあるのは校舎だ。姿が見えないということは、その裏手側にでも集まっているのだろうか。だがその辺りにあるのは大きめの池くらいで、人が集まるような施設などないはずだ。頭上にすっきりとした青空が広がる清々しい昼下がりではあるのだが、震えるほどに寒い中、正門まで聞こえてくるほど賑わう状況になど皆目見当がつかなかった。

「今日ってなんかあったっけ?」
「うーん、昨日出かけた時点では何もなかったはず、だと思うんだけど……」

すぐ目の前にいる相棒に尋ねるも、ただ不思議そうに首を捻るばかりだ。その傍らで、八左ヱ門が腕を組み苦笑を浮かべて呆れの混じったため息をつく。

「まーた学園長先生が突然の思いつきでもなされたんじゃないか?」
「あり得るな。だとしたら巻き込まれない内に長屋に戻りたいところだが……身体が氷みたいだ」

八左ヱ門に同意を示しつつ、三郎は凍える身体を震わせた。
学園長先生の思いつきなら、学級委員長委員会の一員としては早々に合流すべきだろう。やることはそれなりに多いのに現在活動している人員は三郎を含め四人しかいないのだ。なにより、同じ委員である勘右衛門に早く会いたかった。

実はここ最近、三郎と勘右衛門との仲は非常にいい感じだ。言葉にしたことこそないのだが、勘右衛門とは互いが互いに対し特別な感情を抱いており、その事実を相互に理解しているという状態だ。ざっくり言えば“ふんわり両想い”、事実婚ならぬ事実恋人みたいな間柄になっている。
そして本日、本当なら今頃三郎は勘右衛門と街に買い物に出かけていたはずだった。委員会の買い出しを建前としたでえとに誘い了承を得ていたのである。それが何故実現しなかったのかといえば、昨日突然ろ組三人でのおつかいを命じられてしまったせいだった。雪中の行軍であることを考慮すれば当日中に帰り着くのは困難で、それ故に泣く泣くご破算にしたのだ。しかしどうしても諦め切れなかった三郎は、今朝雪が止んでいるのを見るなり同行者をせっついて早々に宿を発ち、想定していたよりも早く帰還を果たしたのだった。買い物に行くにはさすがに時間が足りないが、峠の茶屋に甘味を食べに行くくらいはできるだろう。
そういう経緯で帰着したが故に、三郎の最優先事項は勘右衛門と時間を過ごすことだ。突然の思いつき真っ最中なのであれば同じ委員として共に仕事を、そうでないなら二人で外出したい。しかしまずは、この冷え切った身体を温めないとまともに動けそうもない。生来寒さに弱い質だというのに雪の積もる極寒の中、長時間歩き通しだったのだ。故に身体は既に芯まで冷え切ってしまっていた。

「でもまだそうと決まったわけじゃないし、状況が分からないと方針も決めにくい……素通りすべきか、寄っていくべきか……うぅーん……」
いつものごとく悩み出した雷蔵に、三郎は八左ヱ門と顔を見合わせ苦笑した。相棒が決断するまで見守っていたいところなのだが、こう寒いとのんびり待ってもいられない。

「取り敢えず、こっそり覗いて様子見ようぜ」
八左ヱ門の折衷案に頷いた三郎は、まだ悩みから抜け出せずにいる雷蔵の背中を押して声と気配のする方へと足を向けた。

「「「なんだこりゃ!?!?」」」

校庭を雪を踏みしめつつ横切り校舎の陰に身を潜めた三人は、こっそり覗いた先に広がっていた思ってもみない光景に素っ頓狂な声をあげた。
気配やざわめきで感じたとおり、そこには多くの忍たまが集まっていた。見事に氷の張った池の上にも複数の姿がある。それはまだいい。問題なのは彼らが履いているのが一本歯下駄の亜種のような奇妙な履物だということだ。
どう見ても不安定だろうその装備は、地上ならまだしも氷上においては適切とは言い難いように思われる。だが、へっぴり腰で時折転びつつよろよろ進んでいる者がいる反面、驚くべきことに土の上よりいっそ速く、軽やかに滑っている者もいた。しかも、やたらと派手な南蛮衣装を纏い器用にも飛んだり跳ねたりくるくる回ったりしている約一名を含め皆一様に楽しそうである。

そんな賑やかな池の周囲には、巨大な饅頭のようなもの――恐らくかまくらだろう――がいくつも鎮座し、さらにその周りには雪だるまや雪うさぎ、教職員の姿を模したと思しき雪像などを量産している下級生の姿がある。
視線を奥へと移せば、丘の上から下へくねくねと折れ曲がりつつ掘られた溝と、その中を猛スピードで駆け降りてくるソリらしき物体も見受けられた。ただし、速度ゆえに溝の終端から宙へと飛び立っていくソリの乗客は、笑っているのか泣いているのか判別しがたい表情をしている。

丘の脇に広がる雑木林には、雪合戦に興じているらしい上級生の姿も見える。……雪玉を投げ合っているという点で雪合戦と定義したが、三郎の目に映るのは松葉色の残像と弾丸がごとく飛び交う白い球のみで既に一般的な遊戯の枠に収まっていないのだが。この距離でもギンドン勝負だー! などという末恐ろしい雄叫びが聞こえる気がして、三郎は種類の異なる寒気に襲われぶるりと身を震わせた。

「あっ、五年ろ組の竹谷八左ヱ門先輩、不破雷蔵先輩、不破雷蔵先輩に変装中の鉢屋三郎先輩。おかえりなさい!」

所属とフルネームで紹介するお約束の形式で呼び掛けられ三郎は思わず身体を強張らせた。傍らの二人も同様の反応である。
見れば、目の前に一年は組のきり丸が佇んでいた。どうやら広がる光景に気を取られているうちに、三人揃って校舎の影から歩み出てしまっていたらしい。命の危険があるわけでもないのは確かだが、忍者のたまご五年目としては大変うかつな行動を取ってしまった己が少々恥ずかしくなる。
三郎が羞恥と戦っている傍らで、同じ委員会所属の雷蔵が代表して笑顔で挨拶してくれた後輩に笑みを浮かべて応じる。

「ああ、ただいま。で、きり丸。これは一体どういう状況なんだい? 学園長先生の突然の思いつきとか?」
「違いますよお。学園長先生の思いつきなら、もっとしっちゃかめっちゃかだと思いますよ?」
即否定したきり丸が眉を下げて曖昧に笑う。それもそうか。三郎はなんとなく納得した。隣の二人もそれぞれそんな感じの表情で頷いている。

「今朝雪が積もってるのを見て、ちょーっと思い出したことがありましてね。こりゃあ稼ぎ時だぞ! って気合い入れたんすよ。あひゃあひゃ! 大儲け!!」
唐突に目を小銭にしたきり丸の興奮具合から、どうやら此度の仕掛け人は彼であるらしいと察し三郎は舌を巻いた。商魂の逞しさやその手腕には目を見張るものがあることは前々から知っていたが、さすがにここまでとは思っていなかった。ドケチより敏腕商人とでも称した方が適切な気さえして来る。

「先輩方もすけえと、挑戦してみて欲しいっす! 靴代お安くしときますんで♡ あと五年い組のお二人にも貢献して頂いてるんで、ぜひお金落としてってくださいね!!」
商売人顔負けの媚を売った上で歯に絹着せぬ発言をかましたきり丸に、三人揃って苦笑で頷いて見せる。こういうところが上手いというか、憎めないところだ。

「あ、い組のお二人はあちらのかまくらにおられますよ。じゃ、僕はこれで! あー忙しい忙しい!!」

三郎たちが感心している間に言いたいことを一方的に言い終えたきり丸は、躊躇無く踵を返した。そのまま足早に去っていく後輩を、三人は苦みを帯びた微笑みを浮かべたまま見送った。

「おっ、ろ組じゃん。おっかえり~」

教えられたかまくらを覗くと、気づいた勘右衛門が親しげに声をかけてきた。二人は温かそうなどてらを着込み、真ん中にある鍋を囲んでいる。勘右衛門は鍋に手を翳して暖を取っており、その傍らの兵助は勘右衛門の言葉にも顔を上げることなく豆腐にせっせと串を刺しているようだ。鍋のまわりに挿してある田楽豆腐を作っているのだろう。

「……何してるんだ?」
「見れば分かるだろ? 鍋の番だよ」

三郎のごく曖昧な問いに、勘右衛門は面倒そうに答えた。いや、それは確かに見えているので分かるのだが、そういうことではなく。
言葉足らずだったと反省し質問の意図を補足しようと口を開きかけたが、脇から八左ヱ門がぬっと身を乗り出してきたため何も言わずに閉ざした。

「それ、何鍋?」
「……分かるだろ?」

期待に目を輝かせた八左ヱ門の問いに、しかし勘右衛門はただ半眼で問い返すだけだった。彼がちらと視線を流した先の竹ざるには、雪とはまた違う質感の白くて四角い何かが小山を為していた。他に食材らしきものは見受けられない。

――湯豆腐か。

八左ヱ門はがっくりと肩を落とした。

「豆腐が嫌なら炙り餅もあるけど」
「まさか! 豆腐は冷たくてもいい、温めてもいい、完璧な食べ物だよ? 嫌なわけないじゃないか」

あからさまに落胆した姿を哀れに思ってか別メニューを提案した勘右衛門に、それまで黙々と田楽豆腐製造に従事していた兵助が割って入って来る。相変わらずの豆腐狂いっぷりに思わず視線を逸らすと、その先で勘右衛門と目が合った。そのままこっそり苦笑を交わす。

「ずっと外で寒かったろ? 入って温まりなよ。湯豆腐一杯だけ、同級生のよしみでサービスしてあげる!」

いつものことながら呆れられていることになど気づきもせずに、兵助が喜色満面で鍋の蓋を開けた。くつくつと煮立つ水面から湯気がふわりと広がってすぐに消える。
豆腐一色(プラス炙り餅)の白尽くしなメニュー展開はあまり嬉しくないのだが、朝から延々雪道を歩いてきた身体は未だ氷がごときで腹も減っている。故に三郎たちは文句の一つも言わず誘われるように簔や笠を外しかまくらに入った。

内部は外気が遮断された上に鍋があるからだろう、どてらがなくとも暖かく感じられる。位置関係的にも自然だったため、三郎は勘右衛門の隣に遠慮なく座った。雷蔵はその隣に、八左ヱ門は入口の前を避けて兵助の隣にそれぞれ座る。
と、腰を落ち着けるが早いか湯豆腐が即手元に配給された。醤油も何もない素の豆腐ではあったが、鍋から取り上げたばかりの温かな湯豆腐は思った以上に三人の腹と心に染みた。

「で、なんでこんなとこでこんなことを?」

湯豆腐でひと心地ついたところで、三郎は改めて状況を尋ねた。
五年生の中できり丸と縁があるといえばもちろん雷蔵である。きり丸の銭稼ぎが発端にある此度の催しに、何故い組の二人がかまくらで湯豆腐を作ることになったのかがさっぱり分からなかった。
すると隣で勘右衛門がああ、と何かを思い出したかのように声をあげる。

「兵助のやつ、五期ほど前にきり丸に借りつくったままになっててさ。それで今回駆り出されたんだよ。俺はその手伝いってわけ」
「こらこら、軽率にメタな発言をするのはよさないか」

さらりと枠線、もとい画面をはみ出した解説をした勘右衛門を呆れ気味に窘める。だが彼は意に介した様子もなく眉尻を下げて笑った。

「ま、借りなんかなくても兵助は喜んで参加してたと思うけどね。なんたって自慢の豆腐を振る舞える絶好の機会なんだから」
そう言う勘右衛門に肘で小突かれた兵助は、何故か照れたようにはにかんだ。その後すぐに表情を戻すと話を逸らすように首を巡らせ背後の壁を顎で指す。

「あっちのかまくらではタカ丸さんが甘酒やってるし、そっちには六年生がぼたん鍋作ってるとこもあるよ」
「猪肉は雪でテンションの上がった七松先輩が山ほど獲ってきたんだってさ」

兵助の案内に、勘右衛門が蛇足の説明を加えた。先刻の雄叫びが幻聴でなかったのなら、雪合戦のメンバーには七松先輩もいたはずである。その前にわざわざ雪山に入り猪を狩りまくってきたといういけドン過ぎる話に、ようやく温まった身体に嫌な寒気が走った。日頃から思っていることではあるが、こんな寒い日には一層、絶対に絡まれたくない人物だ。

「主催はきり丸だって話だが、規模が大きすぎやしないか?」
三郎は、薄ら寒い話を終わらせたい考えもあり素直な疑問を口にした。すると兵助が眉尻を下げて笑い出す。

「きり丸が六年の先輩方に声かけたら張り切っちゃったらしくて。……七松先輩が雪でテンション上がってたせいかな? 池の周りにかまくらが乱立しちゃって。それを見てそもそも高くなってた皆のテンションに拍車が掛かって妙に賑わっちゃったって感じじゃないかな」

なんと、話題を変えたつもりが再びいけドンな話になってしまった。最早何を言ってもいけドンに辿り付きそうな気さえしてきた三郎は、経緯も把握できたことだしと口を噤むことに決める。

「ところで、きり丸にすけえと? とやらに挑戦して欲しいって言われたんだけど、なんだか知ってる?」

話題を継ぐように、雷蔵がい組の二人に尋ねた。確かに、別れる直前にきり丸がそのようなことを言っていた気がする。さすが雷蔵は後輩想いだなと感心しつつ問われた側へと視線を移した。二人は同時に頷き、示し合わせたかのように勘右衛門が先に口を開く。

「ああ、すけえとね。妙な履き物で氷の上滑ってるの、見たろ? あれだよ。この前、滝夜叉丸が一人で練習してるの見かけて面白そうだな~って思って。なんでも南蛮の技術らしい」
「勘右衛門が滝夜叉丸から借りたって言うから一緒にやってたら、きり丸に声かけられてね。きり丸が滝夜叉丸に掛け合って靴を増産、そして今に至る。って感じかな。靴は滝夜叉丸が管理してて有償で貸してくれるよ」

経緯に続いて、兵助が現在の状況と費用についてまで説明してくれた。どうやらきり丸の主な稼ぎどころは氷の上であるらしい。ろ組の三人はそれぞれほーとかへーとか気の抜けた音を発しながら頷く。

「難しいけどコツがつかめてくると楽しいよ、結構スピードも出るし。そうだ、三人も身体温まったら一緒にやろうよ!」

兵助が表情を明るくして誘ってくる。おつかいを終えて帰ってきたばかりの三人にこの後の予定などない。三郎としても、勘右衛門がいるのであれば特に不満はなかった。故に三者三様に同意を示した、のだが。

「そしたら俺は留守番してるから四人で行っておいでよ」
「ええっ?!」

勘右衛門がのんびりと勧めつつ自らは辞退したため、三郎は思わず勢いよく彼を顧みた。同時にあがった情けない声に一瞬動揺したが、それが自分の口から出たものではないことを認識してやや安堵する。危ないところだった。“ふんわり両想い”を維持したい三郎としては明確な意思表示は避けるべきだろう。なにより自分が先に、しかもやや情けない感じで認めるのは何となく許しがたい。
声をあげたのが三郎でないなら誰だったのかと目をやれば、声音に似合いの情けない表情で勘右衛門を見ている人物が一名。

「勘右衛門がいなきゃ誰が三人に教えるんだよ? 俺は無理だぞ、自分が転ばないようにするので精一杯なんだから」

表情・声音・内容に情けなさを取りそろえてきた兵助に、勘右衛門は困ったように眉尻を下げた。しかし頼りにされたからだろうか、その顔には微かながら喜色が滲んでいる。

「そうは言っても、湯豆腐はどうするんだよ。放っとくわけにはいかんだろ」
「火の番なら僕たちが代わりますので、ぜひ皆さんで行ってください」

勘右衛門の至極尤もな指摘に、しかし唐突に割って入った幼い声が解決案を提示した。ハッとした一同が入口へ視線をやると、白く輝く雪景色を背景に小柄な人影が二つ。

「一年は組の庄左ヱ門、伊助!」

名を呼ぶと、二人は失礼しますと礼儀正しく頭を下げてからかまくらの中に入ってきた。

「まず、尾浜先輩、久々知先輩には一年は組の学級委員長としてお礼申し上げます。きり丸のためにありがとうございます」
庄左ヱ門がい組の二人に対し今一度丁寧に頭を下げた。クラスメイトへの微に入り細に入ってのフォロー具合は、級長というより保護者のようでさえある。

「ずっとここにいるのも退屈でしょう? せっかく賑わっているんですし、ここは僕たちに任せて暫く羽伸ばしてきてください!」
続けて発言した伊助の庄左ヱ門と同じくらいしっかりとした物言いに、五人は顔を見合わせた。なんと先輩思いの後輩たちであろうか。可愛い後輩たちのせっかくの気遣いだ、ありがたく受けようと五人は目配せで合意する。

「それはありがたいな。じゃあ少しだけお願いしていいか?」

三郎が代表して提案を受け入れる旨を返答すると、八左ヱ門と雷蔵がそれぞれ傍らにいる一年生の頭を撫でた。後輩二人は頭を撫でられたことにか、照れたように破顔して頷く。

「伊助がいるなら安心だな。なんてったって火薬委員だからね!」
「火薬委員と火の番に関連性はないかと思いますが、責任持って務めますのでご安心を」

委員会の先輩として何故か得意げに胸を張った兵助に、何故か庄左ヱ門が真顔で請け合った。兵助が言いたかったのは豆腐的な意味だと思うのだが、くそ真面目というべきか天然というべきか。

「庄ちゃんたら相変わらず冷静ね……」

勘右衛門が級長としてだろうか、やや申し訳なさそうに眉を下げて苦笑いで応じた。

こうして五年生一同は後輩二人に後を任せてかまくらを出た。
三郎を含むろ組の三人は、一旦長屋へ戻り笠を片づける代わりに乾いた制服に着替えどてらを着込む。準備万端で池端へと戻れば、勘右衛門たちが五人分の履物を借りて待っていた。各々、慣れない装備に四苦八苦しつつ装着する。

他の二人より一足先に装着した三郎は、バランスを崩さないよう気を付けながら恐る恐る氷の上へと踏み出した。そのまま、近くを滑っていた勘右衛門の見よう見まねで少しずつ動ける範囲を広げていく。

「これ、かなり速度出るよな。止まりたいときはどうするんだ?」
「えーと、片足を進行方向に対して直角にして」

ある程度動けるようになったところで、分からないことを勘右衛門に投げかけた。すぐ返ってきた方法を早速試してみる。

「ああ、なるほど摩擦を大きくして減速するのか」
理屈を理解し、速度を上げて止まる動きを何度か繰り返して感覚を掴む。これで氷の上での行動には概ね困らなくなった。そう認識してようやく三郎は息をついた。

「へえ、さすがだな。もう大体分かったのか? 三郎は何やらせても卒がないなあ~」
「――、まあな」

感心した風な勘右衛門の反応に、三郎は大変いい気分になった。
五年生ともなると目新しい事柄は減ってくる。当然褒めたり褒められたりする機会も減るものだ。級長として互いに認め合い肩を並べてきた勘右衛門に称賛されるのは素直に嬉しい。

「おあああっ!? ぎゃーーー!!」

しかし喜びを噛み締める暇もなく、背後から耳をつんざくような悲鳴が上がった。驚いて振り向けば、氷の上に転がる八左ヱ門の姿が見える。早速転んだようである。彼の近くには兵助の姿があるが、ただ慌てた様子で見守っているだけだ。転んだ友人に手を貸したいのは山々なのだろうが、どうやら先刻の自己申告どおりそうするだけの余裕がないらしい。

「派手に転けたなぁ、大丈夫か? ほら、手を貸して」

三郎の傍らにいた勘右衛門が、へたりこんでいる八左ヱ門の正面にすいっと回り込み手を差し伸べる。八左ヱ門は礼を言ってその手を借り、よろよろしつつもなんとか立ち上がった。

「いってぇ~! この靴、細いわ滑るわやばくないか!? お前ら、どうやって立ってんだよ……」
「滑るのを目的にしてるんだからそりゃ滑るよ。それに氷の上だぞ? いつもと同じ感覚じゃダメなんだって。こーやって、足は逆八の字にするんだ。で、足の裏をまっすぐ氷に置く感じで……」

泣き言を喚いた八左ヱ門に、勘右衛門は彼の手を取ったまま丁寧に滑り方を教え始めた。まさに手取り足取り、といった様相である。その光景を眺め、三郎はひどく面白くない気分になった。
できないふりをして教えを乞うていれば……、などと一瞬考えたものの、すぐに打ち消す。勘右衛門ができて自分にできないなどという状況は、三郎のプライドが許さない。
勘右衛門にも八左ヱ門にも他意がないことなど分かり切っている。だが、どうしようもなく苛立ちが募った。先ほどのいい気分が台無しである。

「さ、三郎……! 余裕があるなら、ちょっと教えてくれないかな? 一歩踏み出した瞬間に転びそう……!」

ぶすくれ気味に眺めていると背後から声がかかった。見れば、雷蔵が生まれたての子鹿がごとく足をぷるぷる震わせ不安そうな顔でこちらを見ている。

「もちろんだ」

仕様のない不満は頭から締め出して、雷蔵がある程度自由に動けるようにすることだけに集中しよう。そう考えた三郎は笑顔で応じると、相棒のもとへ向かった。

「……うん、もう大丈夫だな」

暫しして、滑らかに氷の上を滑っていく雷蔵を見守って三郎は満足の息をついた。体幹がよく鍛えられているためだろうか、コツを掴んでからの雷蔵の上達は早かった。今も安定した姿勢でのんびり滑っている。氷上を滑ることを楽しんでいるようだ。
そんな雷蔵の隣に兵助が追いついて並んで滑り始める。笑顔で会話をしながら滑る姿も堂に入っており、どちらの動作にも不安は感じない。
そのすぐ脇を、八左ヱ門がものすごい速さで駆け抜けていった。もちろん、目を輝かせ大変いい笑顔を浮かべている。最初あんなに派手に転がっていたというのに、感覚派は身につけたら後は成長の余地しかないということか。

これでもう自由に行動できる。三人の様子を見てそう思った三郎だったが、肝心の勘右衛門がどこにもいないことに気がついた。三人の周囲には見当たらず、周遊しながら探すも氷上にそれらしき姿は見受けられない。もしや一足先に湯豆腐のかまくらに戻ったのだろうか。

その時、ふと目をやった先、池からやや外れた位置にあるかまくらの入り口から特徴的な髪の先っぽが僅かに覗いているのに気が付いた。三郎は一人氷から降りるとどうにかバランスを取りつつよたよたと地上を歩き、件のかまくらの中を覗き込んだ。

「……おい」
「――んお? はひやひゃん。おふはへ~~」

不躾に声をかけると、ようやく見つけた背中がうどん髪を翻して振り返った。無作法にも口いっぱいに頬張った何かをもぐもぐしながら口を利く。あまりの行儀の悪さに三郎は思わず半眼になった。

「なんだ、鉢屋も食べに来たのか? いいだろう、この私が手ずからよそってやろう。お代は据え置きにしておいてやる」

再び三郎が口を開くより先に、奥から耳障りの良い落ち着いた声音でだいぶ上からな物言いが飛んできた。次いですぐ目の前に椀がずいっと突き出される。視界をふさぐそれを受け取ってみれば、ほこほこと湯気を立てる汁物がなみなみと盛られていた。その温かさと美味しそうないい匂い、なによりすぐそこで同じものを食べているのだろう探し人――三郎が堕ちないはずがなかった。
ちらと目線を上げると、先の発言をかまし汁椀を出した当人たる立花先輩がにっこり笑顔で白い手のひらを突き出していた。三郎はかまくらに上がりこみながら懐を探り、先輩の手の上に小銭を落としてから勘右衛門の隣に腰を落ち着ける。

「ちょうどいい。このぼたん鍋、学園長先生にお届けに行かねばならなくてな。お前たち、暫く鍋を見ておいてくれるか?」
「俺がお届けに行ってきましょうか? もうすぐ食べ終わりますし、学級委員長委員会ですし」

三郎が椀に口をつけるかつけないかのタイミングで、立花先輩は唐突に留守番を頼んできた。まだ了承していないというのに、新しい椀を取り出し盛り付け始める。
それを見てすかさず代行を買って出た勘右衛門に、三郎は余計なことをと思いつつもなんとか口に出さずに耐えた。こういうところが目上の人間に好かれる所以なのだろうななどとぼんやり考える。

「気を遣わんでいい、お前たちは客なんだからな。味わって食べるといい」

しかし立花先輩は提案をやんわりと断ると、微笑を浮かべ勘右衛門の頭をぽんと軽く叩いた。そのまま椀を手にかまくらを出ていく。
ド派手な個性の先輩方には五年間振り回され続けているし、大げさに言えば怨恨などもあり決して仲がいいわけではない。けれど、当然のことながら意地が悪いわけではなく、彼らなりに後輩として可愛がっているつもりなのだろうなと、旨味の滲み出る猪肉を頬張りながら他人事のように思った。

「はー、しみるぜ……兵助には悪いけどやっぱ肉がないと物足りないよなー」

二人残されたかまくらでなんとなく無言で食事を続けていたところ、暫しして最後の一口を平らげたのか勘右衛門が満足げな息をついた。ご機嫌な様子の彼に、三郎は口の中のものを嚥下してから満を持して口を開く。

「お前なんで兵助の手伝いなんかしてるんだよ、今日は二人で出掛ける予定だっただろ」
まろび出たのは率直な不満――湯豆腐かまくらで会った時からずっと燻っていた感情だった。唇を尖らせれば、勘右衛門が怪訝そうにこちらを見る。

「その予定は御破算になっただろ、鉢屋がおつかい行くことになったから」
「急いで帰ってきたってのに」

返された事実を無視して言い募ると、勘右衛門は一瞬目を瞠った。次いで、困ったように笑う。

「そうなの? でもさあ、いつ帰って来るのかも分からんもん、ボーッと待ってはいられないだろ?」
「戻ったら戻ったで八左ヱ門とばかりいちゃつきやがって」

ご尤もとしかいいようのない返答もさらに無視して続けざま不満を垂れれば、勘右衛門は口を半開きにしたまま何度かゆっくりと瞬いた。

「いちゃつ……? いや、すけえと教えてただけだろ。鉢屋のいちゃつく判定、基準おかしくね?」
「私は放置か!!」
「あーはいはい分かった分かった。構えばいいんだろ、構えば! なんだ今日はえっらいストレートだな、そんなに寂しかったのか? 可愛いやつめ!」

勘右衛門の主張にこそ理があると理解した上ですべて無視して不満を訴えた。途端、勘右衛門が笑いながら襲いかかってきた。両手で頭をわしゃわしゃと掻き回される。

「寂、そんなこと言ってないだろ! 頭をぐしゃぐしゃにするな! 雷蔵のヘアピースがだめになる!」

勘右衛門の発言に動揺しつつも、その手をどうにか避けようと身を捩る。それでも頭から手を離そうとしない彼に焦れた三郎は、勘右衛門の脇腹を狙って逆に襲いかかった。指をわきわきと動かすと、びくりと身体を強ばらせようやく手の動きが止まる。

「あははッ! ちょ、くすぐるのはずるいって!」
「人の話を聞かないからだ!」

形勢逆転に成功した三郎は、笑いながら身を捩る勘右衛門に容赦なく攻勢をかける。

「わはっ! ま、待てまて! 鍋、あるし! あぶな――」
「「――あ。」」

体勢を崩し二人揃って地面に転がったところで、入口からこちらを覗き込んでいる立花先輩と目が合った。

「なんだ、色気もなにもあったもんじゃないな」
「立花先輩いつお戻りで?!」

つまらん、とでも言いたげな風情で唐突にコメントした立花先輩に、勘右衛門が慌てて起き上がりながら声を掛ける。

「ついさっき、鉢屋が尾浜に構ってもらえなくて拗ね散らかしてるあたりからだな」
「拗ね!? ……最悪!!」

にやりと笑った立花先輩の揶揄うような言葉に、三郎は思わず悪態をついた。反論したいところではあるのだが、立花先輩は大変頭が切れる上にほぼ事実である。逆にやり込められ更に恥をかかされる可能性が高い。故に余計なことはいうべきでないと無理やり口を噤んだのだ。
しかし羞恥と不満を堪え切れずじっとりと睨めつければ、立花先輩はそんな心中もお見通しとでも言わんばかりに楽しげに笑うだけだった。たかが一年、されど一年。本当に厄介な先輩だ。

と、先輩と無言でにらみ合っていた三郎の耳に、勘右衛門ー?さぶろー?という同輩たちの呼び声が届いた。のんびりぼたん鍋を味わっていたので、別行動を取ってから思ったより時間が経っていたようだ。

「呼ばれてるぞ? 留守番はもういいから戻るといい。ご苦労だったな」
呼び声を受けて、立花先輩は即思考を切り替えたようだった。そう言いながらかまくらにさっさと入ってくると、おもむろにおたまを鍋に突っ込んで一匙分掬い上げた。しかし器には盛らずに、何故かそのままおたまを持って再びかまくらを出て行く。

「――そら、鍛錬馬鹿ども。温か〜い鍋だ、ありがたーく食え」
「あっっぢい! 仙蔵この野郎、そのまま口に突っ込むやつがあるかッ!!」

わざとらしいほど優しげな声に続いてあがった怒声は、立花先輩と同室の潮江先輩のものだろう。驚いて外を覗き見れば、かまくらの前には潮江先輩、七松先輩、中在家先輩の三人がびちゃびちゃどろどろ状態で座り込んでいた。見ているだけでも寒々しいが本人たちもさすがに寒いのだろう、身体がやや震えている。――凍ってさえいなければ冬でもギンギンに池で寝ている潮江先輩を除いて。

「馬鹿でも風邪は引くからな、早く中に入って身体を温めろ。こんな阿呆な理由で風邪なんか引いてみろ? お前たちの流れ弾で雪だるまにされた不運な伊作が黙ってないだろうな」

立花先輩が楽しげに笑いながら言外に脅している。なるほど食満先輩の姿がないのは、不運にも雪合戦に巻き込まれた伊作先輩と医務室へ行っているからなのだろう。
後輩の身である二人は、ぎゃあぎゃあ言い合いを続けながらかまくらに入ってくる先輩方に場所を譲るように外に出た。どうやら彼らの、立花先輩の視界にすら、もう入らないようである。三郎は勘右衛門と顔を見合わせると、どちらともなく呆れ交じりに笑った。

「は~しゃーない戻るかあ……あ、俺先戻るから鉢屋はちーと空けてから戻ってきて」
「え、なんで?」

縮こまった身体を解すように大きく伸びをした勘右衛門の唐突な指示に、三郎は面食らった。率直に尋ね返すと、勘右衛門は口元を手で隠し、わざとらしいほどの上目遣いでこちらを見つめてくる。

「逢引きバレたら恥ずいだろ」
「逢引きだぁ?! どこがだよ!」

続いて投じられた想定外にもほどがあるせりふに、三郎は思わず声を荒げた。一拍置いて我に返り、にやにや笑いを浮かべている勘右衛門を認め、動揺してしまった己に臍を噛み不満も露わに押し黙る。

「はっは、嘘♡ ほら戻るぞーってうわ! もうこんな手冷たいの?」

笑いながらおもむろに手を取った勘右衛門が驚きに声をあげ、掴んだ手をそのまま自身の頬に押し当ててくる。手のひらに感じる滑らかでまろい感触、伝わってくる熱に三郎の心臓が僅かに跳ねた。

「へへ、あったかいだろ? 俺体温高い方だからな~」
「……ああ」

頬に三郎の手を押し当てたまま得意げに笑う勘右衛門に、三郎はやや居心地の悪さを覚えて言葉少なに同意を示した。他意は無いのだろうが、いやそれ故になんとなく罪悪感がある。

「ほんと鉢屋って冷え性なのな。暫く貸してしんぜよう」

頬から手を離した勘右衛門は、しかし手は離さぬままに恩着せがましくのたまいながら氷の上へと足を踏み出す。彼に素直に従って三郎も氷上へと戻った。
吹き抜ける凍てついた風が頬を撫でていく。人よりいくらか皮が厚いはずの三郎の頬が寒さでピリピリと痛んだ。しかし繋がれたままの三郎の手は未だ温かい。まるで勘右衛門の手が、凍て風から守ってくれているかのようだ。
繋いだまま指を蠢かせれば、その手の至る所にやや硬い感触があるのが分かる。三郎は勘右衛門のこの手が、触れれば分かる努力の跡が好きだった。一緒に眠る時や二人だけでいる時には必ずと言っていいほど、三郎は好んで彼の手に触れていた。

――繋いだ手の温もりが、ひどく恋しい。……この恐ろしいほどの寒さのせいで。

「……今夜は一段と冷えそうだな」
「そうだなァ~今夜は兵助と一緒に寝よっかな、あいつ寒がりだからな」

思案の末に零した三郎の言葉に、勘右衛門は同室を案じるような言葉を吐いた。雑談の体を取ったのは三郎であり勘右衛門に非がないのは明らかだ。だがまたしても他の者、よりによって兵助を優先されたことに三郎はあからさまにムッとした。
しかしそこで、唐突に勘右衛門が噴き出した。

「うそうそ、りょーかい。まったく、さっきまでの素直な鉢屋どこいったんだよ? 湯たんぽ代わりになってやるから、先行って布団敷いといてくれよな~」

呆れたように笑いながら繋いだ手をぎゅっと握ってくる。言外を正確に拾ってくれた勘右衛門の手を、三郎は満たされた気持ちで握り返した。
生来寒さに弱い三郎は冬も雪も氷も嫌いだが、こんな日があるなら寒いのも悪くはないなと思う自分がいる。

「言っとくけど本当に寝るだけだかんな、変なこと考えんなよ~? すけべ♡」
「っ考えるかバカ!」

喜びを噛み締める三郎の思考を勘右衛門の冗談じみた言葉がへし折った。遠回しながら下品な内容に思わず噛みつく。

「え、少しも考えなかったの? それはそれでなんてかドーテー臭いなァ」

意外そうな声を出した勘右衛門が、なんとも失礼なコメントを付けつつ繋いだ手を引っ張って三郎を前方へと送り出す。彼の謎の行動に困惑する三郎をよそに、背後に回った勘右衛門は三郎の腰の辺りを掴むと後ろからぐいぐい押し始めた。

「やかましい、三禁だろうが! ~~ッええい押すな離れろ! 転ぶ!!」
「三禁とか今更~! どーせまだ転んでないんだろ、一回くらい転びやがれこの天才が!」
「褒めてるのか貶してるのかどっちだ!?」

中身のない押し問答を続けながら、三郎は勘右衛門から逃れようと身を捩り、勘右衛門はそんな三郎を逃すまじとしつこくへばりつく。大嫌いな寒空の下だというのに三郎は、この時間がずっと続けばいいのになどと柄にもないことを考えていた。

「……なあ、あいつら何してんだ?」

八左ヱ門は池の反対側の端っこで何やらごちゃごちゃやっている級友二人の姿を遠巻きに眺め、傍らの友人たちに問うでもなく問いかけた。その声には感情がほぼ乗っていない。

「いちゃいちゃしてるんだよ」

かなり上っ面だった問いに、雷蔵が薄く笑いながら応じた。もちろん、見えているので分かりきった答えである。それを受け、八左ヱ門は満を持して呆れ交じりのため息をついた。

「やっとかよ、いつから?」
「いや、多分まだだ。でもこのままなし崩しでいくんだと思うぞ」

今度は兵助が、見ても分からない状況を推測し答えてくれる。お付き合いはきちんと段階を踏み清く正しくすべきだ、と考える八左ヱ門には理解しがたい内容だ。だが二人とも嫌に頑固な性格であるため、周りがどうしたところで彼らの意志を変えることはできないだろう。というか、そこまで労をかけたくない。首を突っ込んだら馬に蹴られるだけな気もする。
故に諦めたように、今度は呆れ全開のため息を一つついた。

「ほんとめんどくさいやつらだなあ」
「今に始まったことじゃないだろ、俺たちの級長様方は素直じゃないからね」

苦く笑う兵助の返答は八左ヱ門の感想と同様に諦めと呆れ、そして大切な友人への愛しさを含んでいた。雷蔵もまた、同じような感情の滲む息をつく。それから深く息を吸った。

「おーい! さぶろー、勘右衛門! そろそろ豆腐番に戻ろ~」

いちゃいちゃしている素直じゃない自分たちの級長様方への呼びかけは、高く青く澄んだ冬の空に吸い込まれていった。

きたりなば、つらからじ


[2023/2/4] 五年webオンリー「五忍晴れ‼︎」~冬の陣~

なんか妙に長くなっちゃいました~が楽しく書かせて頂きました!
発端は最近相互さんとスケートに行った時に見かけた人たちであれこれ妄想がはかどったことでした。
で、今回冬の陣だし、大体参加しているイベントとかは春秋が多いので、この機会に書くしかあるめえ!
となった結果Web再録ではなく新たに書くことになった次第です。
短い割りに、今までで一番登場人物が多いかも……?そうでもない……?
六ツ時、鉢尾ばっかり書いていますがハマってこのかた箱推しの民なので、わちゃわちゃ書くの楽しかったです!
私が楽しく書いたように、楽しく読んで頂けたていたら幸いです。
最後まで読んで頂きありがとうございました!

◆おまけ◆どうでもいい&分からなくていい、元ネタ・参考ネタ・小ネタたち

・「やたらと派手な南蛮衣装を纏い器用にも飛んだり跳ねたりくるくる回ったりしている約一名」:23期68話『忍術学園雪景色の段』
※作中ではスケート靴は出てきません。スケートは勿論嘘やで~です。
・「豆腐は完璧な食べ物」説:ミュージカル忍たま乱太郎第3弾 狂気の代理曲
・五期ほど前にきり丸に借りを作った件:第25期27話『五年い組の水遁の術の段』
・タイトルの『春』は季節の春ではないです。元にした言葉(?)は『冬来たりなば春遠からじ』でした。
伝わりにくいだろうな~~と思いつつ、こういうもじった感じのタイトルの付け方好きでして……伝われ!!!!

[2023/3/3 体裁・文章含め全体的に修正]

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